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2012/08号

今も残る稀少の戦争遺跡―旧海軍戦闘機の格納庫

(姫路市西中島)



 1945(昭和20)年8月15日が終戦の日だから、今年2012年は戦後67年目の年となる。この間、戦争を語り継ぐ遺跡は次々と姿を消し、その記憶すら失われようとしているが、姫路市西中島に貴重な戦争遺跡が残っている。地元の運送会社が所有する倉庫で、戦時中は旧海軍の戦闘機の格納庫として使われていた。
 太平洋戦争中の1942(昭和17)年7月、軍用機を生産する川西航空機(株)が姫路製作所を開設。零戦の後継機である「紫電」と「紫電改」を製造し、加西郡下里村(現加西市)にある同社の鶉野工場に馬力などで運び、最終組み立ての後、隣接する姫路海軍航空隊基地(鶉野飛行場)で試験飛行を行い、海軍に引き渡されたのだという。

 現存する倉庫は、鶉野にあった2棟の格納庫のうちの1棟で、戦後、姫路の農機具会社が引き取ってこの地に移築。その後地元の工務店の資材倉庫となり、現在は(株)山口運送の倉庫として引き継がれている。
 建物は幅24m、奥行き33m、高さ11m。資料によれば紫電、紫電改ともに全幅は約12m、全長はそれぞれ約8.9mと約9.4mだから、この中に数機が収納できたのだろう。内部に柱や壁といった収納を遮るものはなく、とにかく〓だだっ広い〓。
 特に際だっているのが頭上高くに架かるトラス構造(三角形を組み合わせた骨組み)の梁で、規則正しい矩形の大空間を形づくるために天井を取っ払い、むき出しになったこの梁と外壁のみで巨大な屋根を支えている。

 鉄材など到底手に入らなかった時代ゆえ、部材もすべて木材で、さほど太くもなく、建設に関わった技術者たちも一定の強度を得るための構造計算に頭を悩ませたに違いない。
 また、部材と部材は釘ではなくボルトで締結されており、それぞれに「ニ」とか「オ」とかの符号が振ってある。日本の敗色が強まり、都市部での空襲が激しくなるとともに軍需工場などは解体して地方に疎開させたので、解体・組立の際に便利なようにボルトを用い、部材にも符号を振ったのかもしれない。
 格納庫のほか軍需工場や軍の関連施設に見立てることも充分でき、外観も最上部が土壁になっている以外は板張りで、戦時を彷彿とさせる雰囲気は残っている。

姫路へ行こう!今月の話題はこれ

第30回姫路城観月会




○第30回姫路城観月会 <姫路城>

 姫路城三の丸広場内に設けられた特設ステージで、中秋の名月にあわせて姫路城観月会が開催されます。
 LEDライトでライトアップされた姫路城(天空の白鷺)をバックに、琴、和太鼓、舞踊などの姫路の郷土芸能が披露され、グルメブースでは姫路・播州の地酒や月見だんご、千姫弁当などの販売やお茶席、月観測コーナーもあります。また、会場内では、しろまるひめのグッズ販売も行われます。

【開催日時】9月30日(日) 
※雨天の場合は10月1日(月)に順延致します。
【開催場所】姫路城三の丸広場
【問合せ先】姫路城イベント実行委員会 079-287-3652

<観月会実施内容>
◎お茶席  午後5時〜
◎オープニングイベント 午後6時〜
 ・飲食コーナー  地酒/お月見団子/千姫弁当/揚げかまぼこ/姫路おでん
 ・その他コーナー 月観測コーナー(姫路科学館・無料) 月の出〜21:00まで
しろまるひめコーナー(しろまるひめグッズの販売)
◎オープニングセレモニー 午後6時20分〜
◎郷土芸能披露      午後6時40分〜午後9時
  (1) 筝曲演奏
  (2) 津軽三味線
  (3) 市民合唱団
  (4) 剣詩舞・歌謡詩舞
  (5) 和太鼓演奏

○ 同時開催イベント  好古園観月会 <好古園>

中秋の名月に合わせ、各庭園の夜間・ライトアップを行うほか、和楽器の演奏会や月見茶会を開催します。
【開催日時】9月30日(日)
午前9時〜午後9時まで(最終入園は午後8時30分まで)
 ※雨天の場合は10月1日(月)に順延
【問合せ先】姫路城西御屋敷跡庭園 好古園 079-289-4120

<観月会実施内容>
◎演奏会
 時 間:第一部・午後5時30分〜、第二部・午後7時〜
 場 所:武者だまり
 出演者:高野巧・西川かをり 他

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