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2011/09号

60年代、70年代の高度成長の日本を映し出す住宅団地

(姫路市豊富町)




 戦後の高度成長期の「住」を象徴するものとして、思い浮かぶのが「(住宅)団地」。1950年代半ばに建設が始まった公団住宅を皮切りに、60年代から70年代にかけて大都市圏を中心に○○ニュータウンと呼ばれる大型団地が相次いで誕生し、県や市などが主導する形で地方都市にも建設されるようになった。

 洋風生活への憧れもあって当時は若い世代が数多く入居し、団地族や核家族なる言葉も生まれ、時代を映し出す鏡でもあったが、近年は居住者の高齢化、人口の空洞化が進み、社会問題にもなっている。

 この時代に建てられた団地は鉄筋コンクリート造りの、エレベーターの設置が普及していないため概ね5階建て程度の直方体の階段室型か2階建てのテラスハウスで、それらが数十棟肩を寄せ合って建ち、町の中心部からバス路線が敷設され、周辺には団地の住民相手の商店が並んで……というのが一般的だった。同じような構えの建物ばかりなので、酔っぱらって団地に帰ってきた居住者が、自宅のある棟を間違えてしまうことが多かったという話も今となっては懐かしい。

 そうした戦後の高度成長期を映し出す団地が姫路市内にもある。豊富町にある江鮒団地で、5階建ての同じような中層住宅と2階建てのテラスハウスが30数棟建ち並び、周辺に住民相手の小さなスーパーや飲食店、医院などが建つのもまさに象徴的で、昭和の古き良き時代の気分を損なうことなく今に伝え、どこか懐かしい雰囲気を醸し出している。

 当時はやったコマーシャルの「ファイトでいこう!」とばかりに、若いサラリーマンたちが列を作って出勤のバスに乗り込み、ベランダでは未来への希望に輝く妻たちが明るい笑顔で洗濯物を干し、団地のあちこちからまだ外で遊ぶことの多かった子どもたちの元気いっぱいの歓声が聞こえるといった、60年代、70年代を舞台にしたドラマのロケ地としては貴重な存在かもしれない。

 ロケ地という点では、まったく趣は違うが同じ豊富町内にある甲八幡神社も面白い。甲山の山頂に社殿があり、広い境内は緑の樹木に覆われ、赤い大鳥居のあたりから俯瞰すると豊かな田園風景が見て取れ、その美しい構図はなかなかのもの。

 同じく町内にある円通寺も端整な美しさが魅力。『太平記』の中に出てくる塩冶高貞の妻(早田氏)ゆかりの寺で、明治35年まで境内に蔭山小学校が置かれていたといい、その時代の遺構か、本堂の横手に木造の学舎らしきものも残っている。アングルを絞れば懐かしい学舎風景が演出できるだろう。

姫路へ行こう!今月の話題はこれ

「姫路城武者隊(つわものたい)!参上」



 姫路城は、平成21年の秋から約5年間実施している姫路城大天守保存修理のため観光客は大幅に減少しており、ピンチとなっています。そこで、立ち上がったのが「姫路城武者隊(つわものたい)」です。

 ボランティアを中心に結成され、姫路城入城者や姫路城大天守修理見学施設「天空の白鷺」入館者などの観光客に対し、“おもてなし”の活動をします。戦国時代にタイムスリップしたような雰囲気を楽しんでください。

活動期間9月4日(日)〜11月27日(日)
日  時毎週土曜日及び日曜日
10時〜15時頃 ※雨天中止
場  所姫路城内及び姫路城周辺(三の丸広場、大手門など)
内  容 「甲冑」「足軽」「忍者」等の歴史装束をまとい、観光客へのおもてなしを実施。(写真撮影、殺陣、簡単な案内など)
メンバー

姫路城内の勉強、話言葉(侍ことば)や殺陣講習会などの研修を受けた、約70名のボランティア参加者。

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